基本理念 「地域で学ぶ、地域で育つ、地域を支える」

地域医療人材育成講座 設立の経緯と目的

岡山大学は2010年4月27日、岡山県と医歯薬学総合研究科に岡山県による寄付講座「地域医療人材育成講座」を設ける協定を締結しました。岡山県北部地区を中心とした深刻な医師不足を解消すべく、様々な取り組みを行うことが主な事業内容となっています。
具体的な施策は以下の通りです。

  1. 地域医療を担う上で必要な総合的診療能力を有する医師を育成する。
  2. 地域医療の充実や医師確保に関する教育研究並びに地域診療の支援を行う。
  3. 地域の診療現場や行政と連携しながら、適切な地域医療提供体制の構築を目指す。

「地域医療」とは何でしょう?

地域の一部として医療があり、「診断・治療」、「早期発見・早期治療」はもちろんのこと、「発症予防」や「健康相談」、「住民教育」などが求められます。このように地域で求められる医療は、特別なものではなく、全ての人にとって必要な医療であり、その医療を実践できる力を持つことは、全ての医療者に求められます。地域医療とは、一言でいえば「あなたのそばに寄りそう医療」です。家庭から職場や地域までの広い領域における健康問題に医療を通じたサポートを行なう医療です。
また、医療スタッフをはじめ、行政、保健、福祉、介護、教育、文化などのスタッフと連携し協力しながら、地域全体で医療を含めた住民サービスを提供することで、住民一人ひとりが質の高い生活を送れるよう活動することが「地域医療」なのです。

地域医療人材育成講座スタッフ

佐藤 勝

Masaru Sato

教授(地域医療支援担当)
【専門分野】内科、地域医療

Message

これからの医療には単に疾患の治療だけでなく、家庭や職場、地域まで包含した
幅広い治療が求められています。

近年、高齢化率の上昇により、複数の疾患を持つ人が増え、さらに介護福祉の問題を抱えることも多くなり、単に疾患の治療だけでなく、家庭や職場、地域まで包含した幅広い医療が求められるようになってきました。それはまさに地域医療そのものであり、それを支える医師の役割としては、幅広い臨床能力をもつ総合医であることや、保健、福祉、介護に関する理解と活用、さらには行政や地域住民と一体となった医療の展開(地域包括ケア)など多岐にわたります。

私はこの地域包括ケアに長年取り組み、その実践により、予防医学の充実、住民サービスの効果的提供、ADLやQOLの向上、教育への好影響などの効果を認め、その結果地域の活性化やまちづくりに繋がり地域医療の素晴らしさを体験してきましたが、これを継続し、さらに発展させ、卒前卒後の教育において若い人々に地域医療の魅力を伝えていきたいと思います。
地域医療における様々な医療活動の意義や重要性の理解はもとより、地域医療の楽しさ、やり甲斐、あるいは醍醐味まで感じてもらうことを目標とし、地域現場での体験実習を特に重視したいと思います。
そして地域医療マインドを持った人材をより多く育成していきたいと存じます。

このような職を拝命致しまして私自身、責務の重さに非常に身の引き締まる思いです。このプロジェクト成功にむけ鋭意努力する所存でございますので、どうかより一層のご協力を賜りますと共に、ご指導ご鞭撻の程何卒よろしくお願い申し上げます。


小川 弘子

Hiroko Ogawa

教授
【専門分野】総合内科・総合診療科、医療教育

Message

地域で求められる医療は、全ての人にとって必要な医療であり、地域医療を実践できる力を持つことは、全ての医療者に求められます。

 本講座では、「地域で学ぶ、地域で育つ」ことを理念に、シームレスに卒後教育につながる医学教育システムの構築を目指します。医療は単独で存在するものではなく、地域の一部として医療があり、「診断・治療」だけでなく、「発症予防」、「健康相談」、「住民教育」などが求められます。地域で求められる医療は、特別なものではなく、全ての人にとって必要な医療であり、その医療を実践できる力を持つことは、全ての医療者に求められると考えています。地域の現場で学ぶことにより、医学生としての可能性を広げ、また将来に亘り医師としての礎を築けるものと確信しています。

 また、「The practice of medicine is an art, based on science」とウィリアム・オスラー医師は表現されました。「病気」を対象とした「Science」は、検査・診断・治療においてEBM(Evidence-Based Medicine)に基づいて行われ、より効果的な質の高い医療の提供を目的としており、作成された診療指針の有効性が実証されています。しかし、EBMは全ての患者さんに有効ではなく、EBMを適用できない患者さんが多くおられるのが実情です。EBMをどのように取り入れるかは、「病い」を患う患者さん自身、その御家族との対話の中で考えていくことになります。「病い」を患う患者さん自身をみる「Art」があり初めて、本当に患者さんの信頼を得た“患者中心の医療”となると考えています。地域医療の現場は、「Art」を身に着けるために最適な現場であると感じています。現場で自ら感じ考えることで「Science」と「Art」のバランスのとれた人材を育成したいと考えています。

 「この先生に診てもらって良かった」、「この先生に診てもらいたい」と患者さんご自身にとどまらず、住民のニーズにこたえられる医療を提供できる医師が育つような教育に尽力して参りたいと思います。

 岡山大学の素晴らしい伝統を守りつつも、地域医療を支える多くの医療機関のご協力を頂きながら、変化し続ける医療情勢にも対応できるシステムの構築により、少しでも地域医療の力となり、また岡山大学の伝統を更に発展させるための一助となるよう微力ながら精一杯努力する所存です。尚一層のご指導ご鞭撻、何卒よろしくお願い申し上げます。


渡邉 真由

Mayu Watanabe

助教
【専門分野】糖尿病内科

Message

私自身、女性医療人キャリア支援を受け復職し、地域医療に携わる機会を得ることができました。この経験を活かし、微力ながら地域医療の発展のため尽力いたしますので、何卒よろしくお願い申し上げます。